くだらないことを雑多に書いている駄ブログです
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僕が読んだミステリ小説の中で特別な位置にある作品といえば、間違いなく綾辻行人さんの『十角館の殺人』です。
ここからはネタバレとなりますので、真相を知りたくない方は読まないでください。
ここからはネタバレとなりますので、真相を知りたくない方は読まないでください。
事件の舞台となる島に行っていた、ミステリ研のメンバー七人。
エラリイ、ヴァン、ルルウ、ポウ、カー、アガサ、オルツィ。
そして、本土で死者から届いた手紙の裏に潜む真実を探る、島田潔と元ミステリ研の河南、その友人の守須。
やがて、島に渡ったメンバーは全員死亡したことが判り、その中には最後まで残っていた二人のうち、探偵役をしていたエラリイまで含まれていたため、一体何があったのかと思っていたら……。
死亡したメンバーには、海外のミステリ作家の名前にちなんだ愛称があった。
ミステリ作家の知識がある警部は、元メンバーだった河南の愛称がコナン・ドイルと知り、守須にも愛称を尋ねる。
「守須くんは、モーリス・ルブランあたりですか」
「いいえ」
「ヴァン・ダインです」
このたった一言に強い衝撃を受けた読者が、果たして全国にどれだけいるんでしょうね。
河南孝明だから、愛称がコナン・ドイル。
守須恭一だから、愛称はモーリス・ルブラン。
河南=コナンという流れで、愛称は本名をもじって付けられていると読者に思わせておき、実は守須の愛称はヴァンだなんて、まさにミステリ好きを騙すために考えたネタだという気がします。
この本を読んだ当時の僕は、ミステリをほとんど読んだことがなく、モーリス・ルブランも知りませんでしたが、守須がヴァンだとは思わなかったので騙されました。
まさか、本土で河南や島田とちょくちょく接触していた彼が、実は島と本土を行き来して事件を起こしていたなんて、まったく想像していませんでしたからね……。
でも、この作品は真相に気付いた人よりも、騙された人の方がきっと幸せだと思います。
少なくとも、僕はそれによってミステリ小説の魅力を知り、綾辻ファンになりましたので、このトリックに引っかかったことは、今でも非常に良かったことだと思ってたりします。
エラリイ、ヴァン、ルルウ、ポウ、カー、アガサ、オルツィ。
そして、本土で死者から届いた手紙の裏に潜む真実を探る、島田潔と元ミステリ研の河南、その友人の守須。
やがて、島に渡ったメンバーは全員死亡したことが判り、その中には最後まで残っていた二人のうち、探偵役をしていたエラリイまで含まれていたため、一体何があったのかと思っていたら……。
死亡したメンバーには、海外のミステリ作家の名前にちなんだ愛称があった。
ミステリ作家の知識がある警部は、元メンバーだった河南の愛称がコナン・ドイルと知り、守須にも愛称を尋ねる。
「守須くんは、モーリス・ルブランあたりですか」
「いいえ」
「ヴァン・ダインです」
このたった一言に強い衝撃を受けた読者が、果たして全国にどれだけいるんでしょうね。
河南孝明だから、愛称がコナン・ドイル。
守須恭一だから、愛称はモーリス・ルブラン。
河南=コナンという流れで、愛称は本名をもじって付けられていると読者に思わせておき、実は守須の愛称はヴァンだなんて、まさにミステリ好きを騙すために考えたネタだという気がします。
この本を読んだ当時の僕は、ミステリをほとんど読んだことがなく、モーリス・ルブランも知りませんでしたが、守須がヴァンだとは思わなかったので騙されました。
まさか、本土で河南や島田とちょくちょく接触していた彼が、実は島と本土を行き来して事件を起こしていたなんて、まったく想像していませんでしたからね……。
でも、この作品は真相に気付いた人よりも、騙された人の方がきっと幸せだと思います。
少なくとも、僕はそれによってミステリ小説の魅力を知り、綾辻ファンになりましたので、このトリックに引っかかったことは、今でも非常に良かったことだと思ってたりします。
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Comment
無題
やあ、ルルウ。
やっと君のこの日記の続きを読める立場になれたよ。
それにしても、僕も見事に騙されてしまったな。
全員ひと通り疑った挙句、外部犯―――
つまり館の建設者か、その弟、あるいは、
国東に絵を描きに行くなどと行っていた守須。
そのあたりの線が濃厚と見ていたのだが。
僕は、千織とこっそりデキていた奴の仕業と考えた。
まあありふれたパターンだ。
だからこそプライバシーの詮索を止めようとする
守須はそんな意味でも疑わしくは感じていた。
けれども、恋仲を匂わせる要素がそれ以上
出るはずがないのもお決まりのパターンだ。
まんまと千織の父親の方を怪しく思わされてしまった。
まさか島のメンバーの中にホシが居ようとはね。
プロローグとの絡みからして、前半のうちは、
ひと足先に島に渡っていたヴァンを怪しみはしたのだが。
改丁版四〇ニ頁。
捲ったその先にただひとつ記されたその台詞。
僕の中で確かに実感された『じわり』とした驚転。
―――守須とヴァンが同一人物!?
次の瞬間から、急速に物語を逆走し始める思索。
僕がもっと時間のある人間だったなら、
この時点ですぐに巻頭から読み直していたかもしれない。
本土と角島、本名と通称。そして何より、
漫画でも映画でもない、絵面のない活字だけの小説の世界。
これら全ての要素が伊達ではない。無くては成り立たない。
巧い。本当に巧いと思った。
渾身のデビュー作を、力量をつけた20年後に改丁、か。
さてルルウ、最後に君に尋ねてみたい事があるんだが……
これと同等あるいはそれ以上と思えるミステリ作品に出会った事はあるのかい?
やっと君のこの日記の続きを読める立場になれたよ。
それにしても、僕も見事に騙されてしまったな。
全員ひと通り疑った挙句、外部犯―――
つまり館の建設者か、その弟、あるいは、
国東に絵を描きに行くなどと行っていた守須。
そのあたりの線が濃厚と見ていたのだが。
僕は、千織とこっそりデキていた奴の仕業と考えた。
まあありふれたパターンだ。
だからこそプライバシーの詮索を止めようとする
守須はそんな意味でも疑わしくは感じていた。
けれども、恋仲を匂わせる要素がそれ以上
出るはずがないのもお決まりのパターンだ。
まんまと千織の父親の方を怪しく思わされてしまった。
まさか島のメンバーの中にホシが居ようとはね。
プロローグとの絡みからして、前半のうちは、
ひと足先に島に渡っていたヴァンを怪しみはしたのだが。
改丁版四〇ニ頁。
捲ったその先にただひとつ記されたその台詞。
僕の中で確かに実感された『じわり』とした驚転。
―――守須とヴァンが同一人物!?
次の瞬間から、急速に物語を逆走し始める思索。
僕がもっと時間のある人間だったなら、
この時点ですぐに巻頭から読み直していたかもしれない。
本土と角島、本名と通称。そして何より、
漫画でも映画でもない、絵面のない活字だけの小説の世界。
これら全ての要素が伊達ではない。無くては成り立たない。
巧い。本当に巧いと思った。
渾身のデビュー作を、力量をつけた20年後に改丁、か。
さてルルウ、最後に君に尋ねてみたい事があるんだが……
これと同等あるいはそれ以上と思えるミステリ作品に出会った事はあるのかい?